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    第187回:真島茂樹さん(ダンサー、振付師)

《3》日劇から東京ディズニーランド、そして東宝ミュージカルへ

 宣教師、SMの女王。そしてもちろん、サンバもバレエも日舞も踊れる踊り子。…どうやら真島さんは、その演者としての変身願望を幼い頃から持っていたようです。

「踊りに目覚めたのは6歳。踊り子バカの始まりね。幼稚園の先生が、お上手、お上手って褒めてくれるの。それですっかりその気になって。我が家は毎晩のように宴会をやっていたんだけれど、そこで、襖を閉めてね、みんながいい感じに酔っ払っているところで、今だ!と、出ていくの。父親の電蓄をかけてね。プレスプラードの『マンボNo.1』とか、そういう曲が好きだったわ」

 扇子や母親のショールも小道具に、即興で踊る真島少年。きっと可愛らしかったことでしょう。

「それでお客様達が『この子は普通の男の子のように育てちゃダメだ』と絶賛してくれて。バレエ教室に入ることになったんです。80人ぐらい女子がいて、男子は僕1人。でも男性の踊りはすごい跳ぶし、素敵なんですよ。初舞台は小3で『くるみ割り人形』でした。いきなり王子様。でも女の子のウエストを持つのは恥ずかしくて顔を背けていました」

 クラシックバレエを初めて数年。真島少年は今度は舞台の踊りに目覚めます。

「小4の時に、初めて日劇を観たんです。秋の踊りでした。女性は100数十人、男性は50~60人。ラインダンスが綺麗だし、男性もスパンコールの衣装を着てかっこいい。それでもう、中学入る前に『卒業したらダンシングチームに入るのでよろしく』というような話になっていました。ところが父が、もしもケガをして踊れなくなったときに困るだろうから、高校ぐらいは行っておいた方がいいと言って。それで、昼間は高校へ行って、夜は月水金は東宝芸能学校、火木土はバレエへ通うことになりました。日本舞踊、タップダンス、声楽、楽理などそこで学んだんです。高校は昼間に寝に行くところになってしまいました(笑)。日曜も練習していましたね。ジャズもやりました」

 もちろん、高校卒業後は日劇へ。どんどんといい場所で踊れるようになり、ソリストになり、大看板になって。それから4年ほど経って、日劇は倒産してしまいます。

「なんとなく、やばいというのはわかるんですよ。舞台から見て、ああ3階席は空いてる、あれ、今日は2階席も後ろの方も空いてきたというふうに。で、日劇のクローズが決まった時に、東京ディズニーランドがオープンしたんです。『フープ・ディードゥ・ショー』というディナーショーに出ることになりました。僕は英語の歌もレッスンしていたので、オーディションにもすぐ受かりました」

 外国人と日本人も入り混じったショー。歌は英語でした。そうして英語で歌うこと、またアメリカ人との仕事が、今度は日本でのミュージカルに生かされてゆく事になるのです。

「東京ディズニーランドが2年契約。その後、東宝ミュージカルが始まったんです。ブロードウェイミュージカルを日本にもってくるわけです。オーディションはブロードウェイのプロデューサーが来るんですが、ありがたいことに僕、受かってしまうんですよね」

 東宝ミュージカルでも『シカゴ』、『キャバレー』、『マイフェアレディ』、『屋根の上のバイオリン弾き』など。錚々たる大作の舞台に出演し続けてきた真島さん。
 次々と踊る場が与えられ、観客の興奮をまた自らのエネルギーに変えて、踊り続けています。
 それはまるで、踊りの神様が真島さんに次々と道を開いているかのようです。

「そうですね。踊りの神様がいるのかも。僕の踊りを見てくれた人が、ハッピーになる。元気になる。笑顔になる。それが嬉しいんです。明るい舞台はいいですよ。でもね、根はドラマチックなのも好きなのよ」

 いたずらっぽく微笑む顔を見て、気づきました。踊りの神様は「生涯一踊り子」と決めた、真島さんの熱い心にただただひたすら応えているのだと。

真島茂樹さん

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●真島茂樹さん公式ホームページ
https://www.majima-shigeki.com


取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1

撮影 萩庭桂太
1966年東京都生まれ。
広告、雑誌のカバーを中心にポートレートを得意とする。
写真集に浜崎あゆみの『URA AYU』(ワニブックス)、北乃きい『Free』(講談社)など。
公式ホームページ
https://keitahaginiwa.com


2024.1.26 written by 森綾
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