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    第29回:芹澤廣明さん(作曲家)

《2》

「涙のリクエスト」にしろ「タッチ」にしろ、芹澤さんの書かれる曲には「青春」という言葉の真っ只中感があります。

「歳をとると吸収力も発散力も衰えていきますよ。歳とってからの『鍛える』はリハビリみたいになっちゃうじゃない。筋トレすること、贅沢しすぎないことを心がけていますよ」

そう言って笑う芹澤さんですが、なんと作曲家生活35 周年を昨年迎え、今年は70歳で全米CDデビューを果たしました。

「最初はジョエル・ダイヤモンドというプロデューサーに依頼され、曲を送ったのです。インドのエリック・ブルーというアイドルが歌って、アメリカ進出すると。ところが、一家でアメリカへ行くのにワーキングビザが下りなかった。それで今度はメキシコのアダン・アエンデというアイドルが歌うことになったのだけれど、今度はトランプ大統領になって、メキシコからの移民を受け入れないということになり、これも立ち消えになりました。それからアメリカ人の女優とバンドでデュエットすることになったのだけれど、これも歌がひどくて。僕が歌ったデモテープを聴いたドン・ライトマンというプロデューサーが『君の歌で、うちから出さないか』と言ってくれたのです」

芹澤さんは、この流れを受け止めました。

「野望という感じではなくて、シンガーとして全米デビューするという想いは昔からあるにはありました。世界中の人に自分の音を聴かせることができますからね。それは今回、本当に良かったことだと思っています」

その曲『Light it up! 』は全米で6月6日にリリースされ、ニュージャージーのFM局のダンスチャートで1位に。
日本でも、35周年記念アルバム『ANIME GOLDEN HISTORY』のなかのボーナストラックとして収められています。

「何人なのか、何歳なのか、誰なのか。わからずに聴いてもらえるのも面白い」。

《3》

20歳のときからトライアンフに乗っていた芹澤さんは、今も車が好き。

「新車の匂い、っていうのはいいよね。イタリアの高級車の内装や、旅客機のいいクラスのシートを作っているポルトローナフラウという家具の会社があって。フェラーリとか、マセラッティ、ロールスロイスのレザーシートを作っているんだけど、そのコノリ・レザーという革の匂いが好きですね。独特なんですよ」

高級な香水にも革の匂いをアレンジしたものはありますが、想像がつくような、まったくつかないような。

「あと、若い頃から『きれいな女の匂い』っていうのがあると気づいてた。香水じゃないのです。蜂を引き寄せる花のような、フェロモンみたいなものかな。きれいだなと思うと、匂いをかぎたくなる。だいたい、世の中の男はその匂いに弱いんだよ(笑)」

そして年齢を重ねてから、さらに好きになった香りがあると言います。

「お墓に行ったときに、お袋に線香をあげるでしょう。そうすると、いいことをしたような気がして、心が安らぎます」

心がたくましくて、男らしい人。そしてそんな芹澤さんという人は、やっぱり必死に青春を生き抜くまっすぐすぎる少年の残り香がします。

芹澤廣明さん

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取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1

撮影 ヒダキトモコ
https://hidaki.weebly.com/


2018.9.27 written by 森綾
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