ニューアルバム『JATROIT』は、JAPANとDETROITを合体させた造語。ベースのロバート・ハーストは、彼がウィントン・マルサリス・カルテットで弾くのを大西さんが初めて見たときから憧れた人。そして、ドラムスのカリーム・リギンスは、過去にも共演歴がありますが、今回、ロバート・ハーストの初参加を仲介してくれたそうです。
「どういう演奏をするのか予測のつかない人たちですからね。いかに毎回違うことをやってやろうかと虎視眈々と狙っているような。譜面も不要なくらいにね。私も日本のなかではそういう人だと思われているかもしれないけれど(笑)。ものすごくお互いに聴かないとダメだし、反射神経も必要。エキサイティングな録音でした」
リズムが入れ替わっていく緊張感と躍動感。メロディの変容。聴けば聴くほどに味のある1枚です。
毎日、少なくとも2~3時間はピアノの練習をしているという大西さん。好きな香りは可愛い2匹の愛犬が発する匂いです。
「わーっと練習とかしてると、ふと自分の汗をかいた体から彼らの匂いがぷわーと、してくることがあるのです。他の人はくさい、と思うのかもしれないけれど、そのなんとも言えない動物の匂いが私は好き。実は私、香水をつけたこともないのです。彼らの匂いが、私についていると思いますよ」
2匹は4歳のチワプーと2歳のトイプードル。都内のライブには、一緒に来ていることが多いようです。
「トイプーは頭がいいと言われているけれど、うちの子は芸をしたりはできない程よいおばかさんです(笑)。
チワプーは人慣れしています。練習しているときも、ライブ中もムダに吠えないんですよ。本当におとなしく聴いてくれているので。2匹を看取ったら、もう死んでもいいなあとか思ってしまいます」
いえいえ、ずっと素晴らしい演奏を聴かせてもらいたいものです。
「やりたいことはだいたいやったから。あとは自分で勉強するしかないし。一時休止したのは、アウトプットし尽くしたので、インプットしたい気持ちがありました」
今はまた、若いミュージシャンたちを率いて新たなトリオやフォーマットに生き生きと取り組む大西さん。
年内にはもう1枚、ライブ盤の録音をする予定だそうです。
大西順子さんのライブはここで聴けます!
2019/11/15 金曜日「大西順子トリオCONCERT2019」/ 大阪 あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール
2019/11/22 金曜日, 11/23 土曜日, 11/24 日曜日「大西順子セクステット+」/ 新宿ピットイン
2019/12/14 土曜日「大西順子トリオ」/ 高崎芸術劇場スタジオシアター
2019/12/19 木曜日「大西順子トリオ クリスマス・ジャズ・ライブ」/ 静岡音楽館AOI
「JATROIT」
https://www.amazon.co.jp/JUNKO-ONISHI-presents-JATROIT-TOKYO/dp/B07SKCZ7MD
撮影協力 吉祥寺SOMETIME
https://www.sometime.co.jp/sometime/
取材・文 森 綾
フレグラボ編集長。雑誌、新聞、webと媒体を問わず、またインタビュー歴2200人以上、コラム、エッセイ、小説とジャンルを問わずに書く。
近刊は短編小説集『白トリュフとウォッカのスパゲッティ』(スター出版)。小説には映画『音楽人』の原作となった『音楽人1988』など。
エッセイは『一流の女が私だけに教えてくれたこと』(マガジンハウス)など多数。
http://moriaya.jp
https://www.facebook.com/aya.mori1
撮影 上平庸文