熊谷 今回の香り博で、各店、巡ってくださる方が増えると嬉しいですね。楽しみなのは、個人にせよビジネスにせよ、どういう反響があるかということですね。そしてこれをきっかけに来年にどう繋げるのか。
だんだん大きなイベントになっていくといいですね。
小仲 準備は大変ですけれどもね。
熊谷 だんだん話していると良いアイディアが出てきますからね。最低限これはやらないと、というように。
小仲 1年中このために動いてるようになってしまったかもしれませんね(笑)。
僕が嬉しいのは、声かけにお二人に本気で乗っていただいて、スタッフの方々、お店の方々、たくさんの方々の力で形が出来上がったことです。熊谷さんもおっしゃっていましたが、まずは今回を成功させたいですね。
熊谷 反響がまた教えてくれることもあるでしょうし。
畑 そうですね。今回見ていただいて、香りに関係する企業の方々も参加したいと言っていただけたら嬉しいですね。
小仲 そうですね。4月18日の「香りの日」も一緒に盛り上げていきたいです。バレンタインデーのチョコレートのように、この日には、大切な人に香りをプレゼントするというような。そういう慣習にもつなげていけたらなと思います。もちろん、ご自身のためでも良いのかもしれませんが。
”香りの日”がある国は、世界的に見ても少ないと思うんですよ。日本の香り文化の歴史は、世界の中の視点で見た時にも独特で素晴らしいと思うんです。
熊谷 そういうことも知ってもらって、盛り上がっていただけると嬉しいですね。
先程の松栄堂さんのお話で、若いお客様が香り目当てに来てくださるというのは素晴らしいと思います。弊社の場合は文具なども扱っていますので、文具を目当てに若い人が来てくださったりもします。そういう他に目的を持った方が、香りにも興味を持ってもらえるきっかけとなれば幸いです。
小仲 鳩居堂さんの文具は、日本の文化そのものみたいなものですから。
熊谷 香り博を見てもらって、初めて匂い袋を手にする方も増えればいいですね。
将来的には、香りに携わる企業や老舗、そういう垣根を取っ払って「香り博」に参加してほしいという思いが強いです。今回は、それぞれの店舗のある東京と京都ということになっていますが。
小仲 そうですね。都道府県に広げていきたいですし、もっと一つのストリートなどで細やかなことができてもいいと思います。例えばこの日本香堂本社のある銀座の通りは、香りのショップがたくさんあって”香り通り”みたいになっているので。
熊谷 お香業界だけで考えるのも視野が狭いといいますか、小さい世界ですからね。
畑 お香の良さが最初のところにあって「香り博」がそこから大きく広がるきっかけになるといいですね。世代も超える、競合の企業の垣根も超えていけるコンセプトだと思いますし。
小仲 そうですね、どう広がっていくのかは今後に向けて、重要なポイントですよね。まずはぜひ今年のゴールデンウィークにもたくさんの方が香り博に参加していただきたいと願っています。
「香り博」
2024年春、初めての開催となる香りの体験イベント。
テーマは『Origin of fragrance(香りの原点)」
東京、京都にある香りにまつわるお店が一体となり、4月18日の「お香の日」を中心に1ヶ月開催。
香道を体験するワークショップや、限定商品の発売、各店が所蔵する一般非公開の歴史資料の展示で盛り上げる。
鳩居堂製造株式会社
代表取締役社長 熊谷直久
1975年、京都生まれ。2011年から代表取締役社長。
本人画像は非公開としている。
鳩居堂は1663年、薬種商から創業。1700年頃より薫香、線香を製造販売。
松栄堂
専務取締役 畑元章
1981年、京都生まれ。
2018年から専務取締役。
松栄堂は創業300年余。3代目から本格的に香づくりを始め、以来、12代目に至る今日まで続く。
株式会社日本香堂ホールディングス
代表取締役社長 小仲正克
日本香堂、香十天薫堂、ESTEBANなど、仏事、フレグランス、不動産関連事業10社の持ち株会社。
日本香堂は天正年間創業。来年で450周年を迎える。宮中御用を務めた香の専門職「香十」より脈々と続く調香技術を受け継ぎ、現在に至る。
https://www.nipponkodo.co.jp/company/
構成・森綾(フレグラボ編集長)
撮影・萩庭桂太